金融一ミリもわからん筆者がイェール大学の講義「金融市場」を受けてみた (Lesson 5, 6, 7)
はじめに
- いい年して「金融一ミリもわからん」はまずいので,金融について勉強する
- 具体的には,CourseraにてYale University (イェール大学) の講義 Financial Markets を受ける
- 講師はノーベル経済学賞(2013年)受賞者のRobert J. Shiller
- 本ページでは,筆者が講義で興味深いと思ったことを自分用のメモとして記す
- なお,専門用語は日訳しない.これは,筆者が現在英語を日常的に使用する環境にいるので,英語で専門用語を覚えたいため.
目次
Lesson 5
Limited Liability
得た知識
- 株主へ責任追及しないことが市場を盛り上げることにつながった
- 株主が責任追及されてしまうと,株主は分散投資しなくなり,資金がスタートアップなどに行かなくなるため
Unidad de Formento
得た知識
(Unidad de Formentoより)
- Functions of money
- Store value
- Unit of account: To measure value of something*1
- Means of transactions
- これらのfunctionsは切り分けることが可能
- ハイパーインフレ下のチリでは物価連動型のunit of accountである "Unidad de Formento" を提案
Lesson 6
Efficient Market Hypothesis
(Forecasting, Intuition of Efficiencyより)
得た知識
- Efficient Market Hypothesis
- Marketはすでに利用可能な情報が全て反映済み(efficient)な状態とする仮説
- 価格変動はrandom walkする
- そのため,将来の価格変動を予測できない
- ただし,half truth (人間の感情が入るので完全にefficientな状態にはならない)
- Efficient Market Hypothesisによると,ニュースを聞いて「○○の株は伸びるぞ!」って特定の株を買いに走っても意味がない.なぜなら,すでに株価に反映済みだから
Lesson 7
市場に影響を与える人間の認知バイアス
Prospect Theory
得た知識
(Prospect Theoryより)
- Value Function: 人は200ドル得するより,100ドル損する方を恐れる
- 例: コインを投げて表なら200ドル貰える,裏なら100ドル払うという賭けにのるか?
→ほとんどの人はのらない.期待値は+50ドルにも関わらず
- 例: コインを投げて表なら200ドル貰える,裏なら100ドル払うという賭けにのるか?
- Weighting Function: 人は無意識に確率を「重み付け」し修正する(e.g., 宝くじ)
疑問点,今後調べること
- Weighting Functionについて.逆もありうるのでは?すなわち,生じる確率が数%程度の事象について,確率を過小評価することもあるのでは?
- E.g., COVIDの致死率は2%だが,人は「COVIDにかかっても死なない」と感じる
用語
- Utility Function (効用関数): 物,エネルギー,情報,サービスなどの効用を数値におきかえる関数*2
- ピザを三枚貰って三倍嬉しくなる人なら傾き1の直線,ピザを三枚貰ってもそれほど嬉しくならない人なら,√xのような曲線になる(参考: ぴーすけ講座 効用関数と予算制約)
その他
得た知識
(Logical Fallacies, The Brain, Magical Thinkingより)
- Cognitive Dissonance
- 例: oo大学とxx大学にW合格しoo大学を選択→xx大学の良い評判を聞きたくない
- Mental Compartments
- 本来であれば分散とリターンのみを考えれば良いものを,人間は "have fun" のために,riskyな投資をしがち
- Attention Anomalies
- 価値の高い株がただ単に見落とされているだけかもしれない
- Anchoring
- 過去(or 他)の株価にanchorされる
- 例: 株価が例えば30$→60$に上がったら,splitして30$に戻すことにより,株価を維持・釣り上げることができる
- 例: 会社名を「〜.com」とすることで,類似名の好調企業(e.g., Amazon.com)に株価が釣り上げられる
- Representativeness Heuristics
- 実験: ooさんは芸術的な人です.さてooさんの職業は「彫刻師」or「銀行員」?
→多くの人「彫刻師」と答える.彫刻師なんてほとんど居ないのに - 例: 世界大恐慌(1929)と状況が似ているとき,人々は「世界大恐慌がまた生じるのでは?」と恐れる.世界大恐慌が生じる確率は少ないのに
- 実験: ooさんは芸術的な人です.さてooさんの職業は「彫刻師」or「銀行員」?
- Magical Thinking
- 実験: 鳩に15秒に一回餌を出す.たまたま餌が落ちる前に鳩がしていたこと(ダンス)が,餌を貰える合図だと鳩は「学習」し,餌を貰うためにダンスを始める
- 所感: 人間の「祈り」に似ていると感じた
- Quasi Magical thinking
- 自分の決定が確率に影響を与えるという考え
- 実験: 「好きな金額を提示して下さい.コインを投げて表なら提示金額を貰えます.裏なら提示金額を払ってください」という賭けにおいて,
コインを投げる前に質問したほうが,コインを投げたあと(結果未開示)に質問するより,高い金額を被験者は提示しがち
用語
- No arbitrage assumption
- 「100%の確率で必ず収益を得られる方法が市場に存在しない*3」